会長挨拶

第31回日本がん検診・診断学会総会の開催にあたって

長町茂樹

第31回日本がん検診・診断学会総会 会長
福岡大学病院放射線部第二・教授
長町 茂樹

第31回の総会会長を拝命致しました福岡大学病院放射線部の長町でございます。コロナ禍の先の状況はまだまだ見通せませんが、海外からの訪日、また海外渡航の条件も緩和されつつあり、メディカルツーリズムも、以前の状態への復帰が期待されます。また、感染対策と両立しながら社会経済活動を行っていくというように徐々に世の中が変わり始め、各学会においても対面での開催が増えて起きており、学会活動も徐々にコロナ前の状態に復帰できそうな予感がしています。

がん診療の現場で常々感じることですが、コロナウイルス蔓延中は、進行期のがん患者様がコロナ前よりも増えたような印象でした。毎年受けるはずの検診を受けなかったことや遅れたことで、患者様の専門医受診が遅くなったこと等が要因と考えられます。地域差はあるかもしれませんが、コロナ感染の蔓延に伴う弊害が、がん検診現場に及ぼした影響の検証が必要と思われます。

一方で、ここ数年間のArtificial Intelligence(AI)の進歩はめざましく、がん検診・診断の現場にも進出しつつあります。私は放射線科が専門ですが、報告書作成の現場においてもAIによる補助診断が可能になりました。他方、ゲノム診療の進歩も着実で、一部は保険診療として行われております。今回の学会では、このようながん検診診療現場の変化を感じつつ、情報を共有しながら、今後のがん検診、診断について展望したく、プログラムの作成を考えております。福岡でお待ちしておりますので、ぜひ現地参加で総会にお越しください。