会長挨拶

第27回日本がん検診・診断学会総会の開催にあたって

会長 山田 耕三

会長  山田 耕三
神奈川県立がんセンター呼吸器内科部長

第27回日本がん検診・診断学会総会会長を拝命致しました神奈川県立がんセンターの山田と申します。この学会は四半世紀を経過し、いろんな臓器のがん検診についてその有用性や今後の課題についての情報の共有を進めてまいりました。今回この学会を開催させていただくことを大変光栄に存じます。会期は、2019年8月31日(土)、9月1日(日)の2日間であり、歴史とロマンのある横浜において開催します。

私は呼吸器内科医であり、この25年地元の先生方と肺がん検診の実践と普及を進めてまいりました。日本は今後2人に1人が「がん」になる時代だと言われています。肺がんのみならず幅広い領域において、がんを早期発見し治療すること、また高齢者にも優しい低侵襲手術や副作用の少ない局所放射線治療、有効性の高い免疫治療を取り入れた薬物治療に対する要望や期待も高くなっています。一方、がん検診においても、次々と新しいモダリティ―技術やゲノム診断に関するトピックスが報告されました。特に、がん患者の遺伝情報を調べて最適な治療法を選択する「がんゲノム医療」について、厚生労働省は患者への説明や治療を行う「がんゲノム医療連携病院」に全国の100病院を指定しました。これでがんゲノム医療の診療体制が日本においても整ったことになり、個々の患者に応じた治療方針を決める「がんの個別医療」が国内で本格始動することになりました。

一方、がん検診の精度管理や過剰診断・過剰治療の課題についても数多くの議論もなされてきています。我々は個別化検診に向けたこれまで以上に質の高い検診を行うとともに、科学的根拠に基づいたがん検診を提供し、また新しい診断技術の開発や、癌の存在診断における「ゲノム診断と画像診断の融合」についての正しい情報を提供し、より多くの方が適切かつ有効ながん検診を受けられるよう推進するための討論ができる有意義な学術集会にしたいと思います。今回の総会のテーマを「癌の存在診断におけるリキッド診断と画像診断の融合」とさせていただき、例年通り特別講演、教育講演、シンポジウム等も含めて「ゲノム診断」と従来の画像による「がん検診」との融合を討議するようにしました。一般演題を募集し、数多くの会員の皆様が演題を発表していただけるようにいたします。より社会に貢献できるがん検診の近未来像について討議しましょう。

今年は梅雨明けが早く、天候不順+暑さが厳しい季節になりそうですが、どうか一人でも多くの方が積極的にご参集されますよう、心よりお願い申し上げます。


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