日本がん検診・ 診断学会理事長を拝命して

森山光彦理事長 日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野 教授
森山光彦

この度、金子昌弘理事長に代わりまして、日本がん検診診断学会理事長を拝命いたしました。若輩ではありますが、皆様方のご指導・ご鞭撻の程宜しくお願い申し上げます。

現在我が国のがんの疫学は、死因別には第一位で約37万人であり総死亡数のおよそ3割となっています。2人に1人ががんに罹患し、3人に1人ががん関連死亡する現状であります。臨床的には、進行癌に対する治療薬として分子標的薬や免疫調整薬の開発により、生命予後は延長しているとはいえ、長期生存にはほど遠い状態にあります。したがって癌死亡数の減少には、がんの早期発見と早期治療が重要な要素となります。この点において、大きな役割を果たすのががん検診であります。このような重要な時期に本学会の理事長を引き受けることになり、改めて身の引き締まる思いであります。

日本がん検診診断学会は、平成3年に「日本消化器集団検診学会」有賀槐三理事長の呼びかけで「日本婦人科がん検診学会」「日本肺癌学会」の3学会から「がん検診協議会」が創設されました。その後、主旨に賛同された「日本腎泌尿器疾患予防医学研究会」「日本乳がん検診学会」「日本小児がん学会」「日本医学放射線学会」が参加して計7学会により、平成6年「日本がん検診・診断学会」が設立されました。

学会のホームページにも紹介されていますが、本学会設立の主旨は、「現在我が国にはがん検診に携わっている学会は多数があるが、いずれも共通の連なりがない。癌学会、癌治療学会と横並びに検診・診断を主体にしたがん検診・診断学会は必要であり、これによってがん検診・診断の発展が期待できる。」ということにあります。すなわち、がん検診には共通する問題も多いにも関わらず、それらについて合同で討議する場がありませんでした。本学会は、「各種がん検診に共通した諸問題、特にがん診断学、検診方法、精度管理、検診の評価及び行政の対応などについて協議し日本におけるがん検診の発展に寄与する」という趣旨のもとに活動しているわけであります。

実務的には、各種委員会をより充実させて、各分野横断的な手法についての討議の場を設けること、新技術を取り入れた革新的なモダリティの紹介と検討の場を設けること、最新のがんの疫学と統計を解説する場を設けること、認定医制度の充実を図ること、などについて積極的に取り組みたいと思います。

さらにこれらの実践により、メ−ルマガジンをより活性化させること、さらには学術集会にて報告することなどにより、会員および社会に最新のがん対策について啓発すること、を考えております。さらには学会発展の方略としては、まずは評議員の増員を行い会員数の増加を図りたいと思っております。

金子昌弘前理事長も申しておられましたが、本学会は7分野の専門家の集まりですが、各専門分野の交流をより図ることにより、この学会のことを常に第一に考える会員を増やしていきたいと思います。

会員各位のますますのご指導、ご鞭撻をよろしくお願いいたします。


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