第17回日本がん検診・診断学会習熟講習会のご案内

日本がん検診・診断学会
認定医制度委員会

この度、がん検診認定医の方々及びがん検診に関わる医師を対象に、日本がん検診・診断学会習熟講習会を下記の要領で開催いたしますので、認定医資格を得られた方は是非ご出席くださいますようご案内いたします。本講習会を受講されますと、5年後の資格更新に必要な教育研修単位合計50単位のうち25単位を取得できます。

名称第17回日本がん検診・診断学会習熟講習会
日程2024年3月11日(月)〜3月31日(日)
申込期間2024年2月5日(月)〜3月25日(月) ※参加申込受付は終了いたしました。
開催形式オンデマンド配信
講演講師3名 各40分
参加費5,000円
第17回日本がん検診・診断学会習熟講習会は無事終了いたしました。
多数の方にご視聴いただき、誠にありがとうございました。

講師のご紹介

加藤 琢磨 先生

香川大学 医学部 泌尿器科

「前立腺がんに対する監視療法」

<ご略歴>

平成15年香川医科大学医学部附属病院 医員(研修医)
平成16年内海病院 研修医
平成17年川島病院 医員
平成18年国立病院機構京都医療センター 医員
平成20年坂出市立病院 医員
平成22年香川大学医学部附属病院 病院助教
平成27年倉敷中央病院 医長
平成29年香川大学自然生命科学系 助教
令和3年香川大学医学部附属病院 泌尿器科 学内講師

<概要>
 PSA検診の普及により前立腺がん症例数は増加し、前立腺がんは2022年の癌罹患数予測で本邦における男性癌の第一位となった。その一方で、検診にて診断される前立腺がんには予後良好な低リスク前立腺がんが多く含まれていることがわかっている。経過観察と根治療法のランダム化比較試験にて前立腺がん死亡リスクには両者に差がないことが示されており、早期前立腺がんに対する過剰診断と過剰治療への対応策として監視療法は各ガイドラインにおいて高い推奨を得ている。
 監視療法は悪性度の低い早期前立腺がんに対して即時治療は行わず、PSA、MRI、直腸診や前立腺生検などを駆使して病勢を監視し、進行が懸念される際には時機を逸さず根治療法を行う治療戦略である。本講演では本邦におけるリアルワールドのエビデンスであるPRIAS−JAPANのデータから、早期前立腺がんに対する監視療法の有用性について解説したい。


石川 仁 先生

国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構QST病院

「粒子線治療の現状と展望」

<ご略歴>

1995年3月群馬大学医学部卒業
2002年3月〜群馬大学大学院医学研究科 博士課程修了 博士(医学)取得
2002年4月〜群馬大学医学部・放射線科・助手
2004年4月〜放射線医学総合研究所・重粒子医科学センター病院・医長
2006年10月〜群馬大学医学部・放射線科・講師
2008年4月〜2009年3月在外研究 米国Rochester大学:Visiting Associate Professor
2011年7月〜筑波大学医学医療系・放射線腫瘍学・准教授
2017年12月〜同・教授
2020年4月〜現職

<概要>
 荷電粒子線は腫瘍の位置で止まり、その位置で最大のエネルギーを放出するため、正常組織への線量を低減することで放射線治療の有害事象を低減し、安全な線量増加による局所効果の向上を図ることができる。とくに高齢や合併症などの理由で有害事象の可能性が高い病態に対する根治治療として期待されている。荷電粒子には、陽子線、炭素イオン線があるが、X線とほぼ同等の生物効果を有する陽子線は、X線でのこれまでの経験を利用して安全な放射線治療を実現できる。とくに小児腫瘍に対する発育障害や放射線誘発癌の抑制効果が期待される。一方、炭素イオン線は、強力な生物効果を有するため、これまでは局所制御でさえ難しかった骨肉腫、悪性黒色腫、膵癌などの治療に適した治療である。先進医療として実施されてきた粒子線治療は、有用性が明らかとなった疾患に対して段階的に保険適用となり、標準的な放射線治療の一つとして位置づけられるようになった。講演では、粒子線治療の保険収載と普及に向けた取り組みと今後の展望について解説する。


竹ノ谷 文子 先生

星薬科大学 運動科学教室

「メディカルアロマセラピーの新たな科学的検証」

<ご略歴>

平成2年3月日本体育大学体育学部卒業
平成2年3月星薬科大学体育学研究室 助手
平成18年7月昭和大学 学位取得(医学博士)
平成19年4月星薬科大学運動生理学研究室 講師
平成22年4月星薬科大学運動科学研究室 准教授 現在に至る

<概要>
 日本の医療における西洋の近代医療と代替補完医療を共に行う統合医療の我が国での導入例は、米国やヨーロッパ諸国と比べると少ないのが現状である。しかし、近年では、精油の様々な生理・薬理作用が知られるようになり、医療の現場ではメディカルアロマセラピーが多用されている。特に、がん患者の緩和ケアに精油を用いたトリートメントや芳香療法が行われ、多くの良好な報告が見られている。しかし、これらのアロマセラピーの効果についての科学的エビデンスは少ない。我々は科学的根拠に基づいたメディカルアロマセラピーの確立を目指すため、ヒト、動物の個体・細胞レベルから、組織学及び分子レベルから精油の持つ効果の解析を行なってきた。一部の結果を紹介すると、桜の香りの吸引によるホルモン分泌作用を調べた結果、ヒトにおいてストレスホルモンであるコルチゾールをはじめ、分泌型IgA、さらにはオキシトシンの分泌促進がみられた。またマウスやヒトを用いた実験では、ジンジャー精油塗布による痛み軽減作用が見られることを機能形態学的に確認した。さらにin vitroの実験では、さくらの葉抽出物を数種類のがん細胞に添加した結果、A549細胞やHeLa細胞のG0/G1期が増加し、アポトーシスの誘導が起こることを認めた。その他、骨格筋由来C2C12 細胞に電気刺激をかけてマイオカイン分泌する「in vitro 運動モデル」を用いた実験では、コントロール(キャリアオイル)と様々な精油の添加を比較した結果、一部の精油には筋肥大などに関与するIL-6の遺伝子発現や免疫応答に関与するCXCL-2, CXCL-10などの遺伝子発現の増加を確認した。これらの実験研究結果が、メディカルアロマセラピーが、がん疾患関連研究やがんの終末期医療に有効なツールとなることを期待する。


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