2010年度(第5回)がん検診認定医講習及び試験
2010年度(第5回)がん検診認定医講習及び試験
日時 | : | 2010年7月17日(土) 13:30 〜 21:10 |
会場 | : | 日本大学会館(本部) (東京都千代田区九段南4-8-24)7階 701 |
※第5回がん検診認定医講習及び試験は無事終了致しました。 |
※日本がん検診・診断学会がん検診認定医制度規程参照のこと。
第5回がん検診認定医試験合格者受験番号
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
21 | 22 | 23(113) | ||
(以上23人) |
第5回がん検診認定医講習及び試験プログラム
13:30〜13:35 | 開会挨拶 | 渡辺 泱(日本がん検診・診断学会認定医制度委員長) |
13:35〜14:15 | 胃・大腸がん検診 | 渋谷 大助(宮城県対がん協会がん検診センター所長) |
14:15〜14:20 | <試 験> | |
14:25〜15:05 | 腹部超音波がん検診 | 小野寺 博義(宮城県立がんセンター医療局長) |
15:05〜15:10 | <試 験> | |
15:15〜15:55 | 肺がん検診 | 楠 洋子(阪和インテリジェント医療センター健診センター長) |
15:55〜16:00 | <試 験> | |
16:05〜16:45 | 婦人科がん検診 | 岩成 治(島根県立中央病院産婦人科部長) |
16:45〜16:50 | <試 験> | |
コーヒーブレイク | ||
17:05〜17:45 | 泌尿器科がん検診 | 赤倉 功一郎(東京厚生年金病院泌尿器科部長) |
17:45〜17:50 | <試 験> | |
17:55〜18:35 | 乳がん検診 | 片岡 健(広島大学大学院保健学研究科教授) |
18:35〜18:40 | <試 験> | |
夕食休憩 | ||
19:30〜20:10 | 小児がん検診 | 七野 浩之(日本大学医学部小児科学分野助教) |
20:10〜20:15 | <試 験> | |
20:20〜21:00 | 放射線機器による がん検診 | 青木 純(社会保険群馬中央総合病院副院長/医務局長/放射線科主任部長) |
21:00〜21:05 | <試 験> | |
21:05〜21:10 | 閉会挨拶 |
第5回がん検診認定医講習会 総評
がん検診認定医制度委員
小川 眞広
これまで学会翌日に行なわれていたが、今回はじめて学術集会の第2日目の午後に実施することになった。23名の認定医受験者と15名の聴講者の合計38名の参加となった。これまで過去4回試験が実施されており受験者の減少が予想される中、有名講師による講義があり、受講のみの聴講の先生方も予想以上に多かったため例年通り学術集会にあわせての開催となった。今回もこれまで同様7学会から代表の講師を招聘し、8分野(消化器がん検診学会のみ消化管と胆膵の2分野に分かれるため)にわたるそれぞれのがん検診についての講義と、それに引き続く試験が行なわれた。
まず、はじめに委員長の渡辺より開会の辞があり開催された。この中で、今回の学会でも多くのディスカッションが行なわれたが、これからの検診の変革が予想される状況について述べられた。まず、癌罹患年齢の高齢化。次に胃癌、子宮癌、肺がん、など1次予防ができる癌が明確となったことが挙げられた。このような背景の中、今後の2次予防としてのがん検診の真価が問われる事を強調し講義が開始された。
各分野の専門家による講義は何れも素晴らしく、疾患の疫学、検診の歴史、現状および問題点などをわかりやすく解説され、約8時間と長時間にわたる講義もあっという間に終了した。
以下に講演して頂いた講師の先生方とごく簡単な講演内容について紹介する。
現時点では次回は、来年(2011年)の学術集会が開催される8月を予定しているが、隔年施行の案もあり今後検討の余地があると思われる。正式に決定次第ホームページに掲載し報告させていただく予定である。
1)胃・大腸がん検診:渋谷大助先生(宮城県対がん協会がん検診センター所長)
- 胃癌検診のX線検診の現状:現在対策型胃癌検診で推奨されているのはX線のみであり基準撮影法の新ガイドラインの紹介と変更項目について解説
- ペプシノゲン法・HP検診について:ペプシノゲン法の原理・意義、ヘリコバクター・ピロリ感染症によって起こる病気、除菌の意義、また両者を組み合わせた検診について
- 内視鏡検診の現状
- 精度管理の重要性
- 大腸がん検診について:対策型検診である便潜血免疫2日法について
- 大腸がん検診においての問題点:正確な受診率が不明、受診率は十分でなく国レベルの対策が必要、精検受診者の低さなど許容値・目標値の設定について
2)腹部超音波がん検診:小野寺博義先生(宮城県立がんセンター医療局長)
- 超音波検診・装置に関する歴史(約30年が経過している)
- 超音波がん検診の特殊性
- 超音波検診の問題点
- 超音波検診の実際(対象臓器、診断装置・条件、走査法・走査時間、画像記録、読影、精度管理)
- 超音波検診の有所見率について
- 肝胆膵腎がんの死亡率について
- 肝細胞癌と肝炎ウィルス、抗ウィルス療法について
- 超音波検診発見癌の特徴について
3)肺がん検診:楠 洋子先生(阪和インテリジェント医療センター健診センター長)
- 肺がんの進行による症状について
- 肺がんの分類:発生部位による分類(中枢)、末梢型)、組織による分類、
- 各組織型肺がんの特徴
- 早期肺がんの発見方法
- 3日連続の喀痰法(扁平上皮癌を対象)について
- 喀痰細胞診の必要な人(肺がん高危険群)
- 気管支鏡機器の進歩:蛍光気管支鏡
- レーザー治療
- 中心型早期がんの症状
- 末梢型早期肺がんの発見方法
- 政策型肺がん検診、任意型肺がん検診について
- 喀痰細胞診判定、胸部X線判定について
- 症例対照研究について
- 肺がん検診をめぐる世界の状況について
- 肺がん検診の評価
- COPD(慢性閉塞性肺疾患)について(病態、診断方法、治療・管理)
- 肺がんの高危険群について
- 禁煙による効果
4)婦人科がん検診:岩成 治先生(島根県立中央病院産婦人科部長)
- 子宮・卵巣がんの死亡数の推移・疫学
- 対策型検診は我が国では子宮頚がん、子宮体がん検診が認められている
- 子宮頚がん:HPVについて
- 子宮頚癌の進行・自然史。HPV、細胞診陽性率、ワクチン、治療について
- 子宮頚癌の現状について、上皮内癌の若年化。検診は浸潤癌の拾い上げになる
- 細胞診による検診、細胞診の精度管理、検診受診歴
- 子宮がん検診の維新:ベセスダ分類の導入、HPVをはじめとする診断方法の多様化について
- 細胞診・HPV-DNA検査併用検査の有効性について
- HPV感染予防ワクチンについて
- ワクチンと検診および検診年齢・間隔について
- 子宮体がんについて:子宮内膜の病理、検診対象、細胞診の問題点、精密検査の方法について
- 卵巣がん:疫学、検診方法について。(経腟超音波検査、MRI、迅速病理、腫瘍マーカーについて)
5)泌尿器科がん検診:赤倉功一郎先生(東京厚生年金病院泌尿器科部長)
- 超音波検査による腎細胞癌、腎盂尿管癌、膀胱がんの特徴
- 血尿スクリーニングについて(顕微鏡的血尿の診察の進め方)
- 尿路上皮がんの高危険軍について
- 前立腺がんの疫学、進行と予防、臨床症状、診断方法(スクリーニング〜確定診断法まで)について
- PSA(前立腺特異抗原)の原理、意味、判定方法について、検診間隔について
- PSAを上昇する要因、低下させる要因について
- 前立腺がん検診の概要
- 厚生労働省と泌尿器科学会の検診ガイドラインの相違について
- 検診前後のファクトシートについて
- 前立腺生検の有害事象
- PSA検診、罹患率、死亡率の日米比較
- 過剰診断・過剰治療について
- 地域連携クリティカルパスについて
6)乳がん検診:片岡 健先生(広島大学大学院保健学研究科教授)
- 乳がんの疫学について
- 乳がんの危険因子について
- 乳がん死亡を減らすためには
- 乳がんの臨床病期、乳腺の解剖
- 早期発見の意義:生命予後延長、温存手術、抗がん剤の使用の有無について
- 乳腺診療で行なわれる検査について
マンモグラフィーガイドライン:カテゴリー分類、乳腺の年齢差について
PET、MRI
超音波検査;ガイドラインの作成
各検査法の比較 - 触診できないがんの診断について;超音波ガイド下組織生検、マンモトーム生検
- 乳がん自然史と検診の関係について
- 受診率(日本では10〜20%)と精度管理
- 乳がん検診の歴史
- がん検診推進事業について
- 年齢別乳がん検診の方法と間隔
- 乳がん検診の課題
- 精度管理について
- 厚生労働省の動向について
7)小児がん検診:七野 浩之先生(日本大学医学部小児科学系小児科学分野助教)
- 世界で対策型検診を行なっている国は存在しない。任意型も無い
- 小児がんの疫学;日本で2,000〜3,000人/年の頻度。5,000〜10,000人に1人
- 小児固形がんはほとんどが非上皮性の腫瘍(脳腫瘍が最多:全悪性腫瘍では白血病が最多)
- 小児がんの50年間の生存率の推移;小児がんの約70%以上が治癒する。(抗がん剤、放射線療法の著効率が高い)
- 各種がんの治療成績の推移について
- 長期的なフォローについて;内分泌障害、二次がんなどの問題
- 小児がんの各論:白血病(ALL、予後危険因子)、横紋筋肉腫、神経芽腫(腫瘍マーカーVMA、HVA、リスク分類)、肝芽腫、腎芽腫、ユーイング肉腫、骨肉腫
- 上縦隔症候群について
- 病理組織学について
- 小児がんの検診について:健康診査は頻繁にあるのでこれを利用する
- 小児がんの発見契機のポイント(非特異的な症状も多い:発熱、痛み、視力低下・・・小児は訴えが少ないので偶発的な腫瘤発見が多い)
- 症例提示
- 小児がん検診の今後
8)放射線機器によるがん検診:青木 純先生(社会保険群馬中央総合病院副院長/医務局長/放射線科主任部長)
- PETの歴史について
- 陽電子放射断層像:PET(Positron emission tomography)の基礎:理論、装置の構成、構造、サイクロトロン製造方法、従来のシンチとの比較、CT、MRIの比較
- PETにおける定量(SUV)、FDGの意味について
- FDG-PET検査の実際について:禁忌、注意事項、について
- FDG-PET検査の保険適応、費用について
- FDG-PET検査読影の注意点;生理的集積部位について
- FDG-PET検診の実績:2006年現在68施設で検診
- FDG-PET検診のアンケート調査について
- 発見癌の臨床病
- 症例呈示